最高裁判所第一小法廷 昭和60年(オ)232号 判決 1987年4月02日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の上告理由について
動産売買の先取特権に基づく物上代位権を有する債権者は、物上代位の目的たる債権を自ら強制執行によつて差押えた場合であつても、他に競合する差押債権者等があるときは、右強制執行の手続において、その配当要求の終期までに、担保権の存在を証する文書を提出して先取特権に基づく配当要求又はこれに準ずる先取特権行使の申出をしなければ、優先弁済を受けることができないと解するのが相当である。これと同旨の見解に基づき、本件配当表に過誤はないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 佐藤哲郎 裁判官 角田禮次郎 裁判官 高島益郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 四ツ谷 厳)